2023年1月の記事一覧
令和4年度 冬季休業明け全校集会 (令和5年1月10日)
明けまして、おめでとうございます。
今日は、宗教を切り口にした話をします。公立学校ですので、特定の宗教を賛美するような話ではありません。
旧統一教会のことが社会問題となり、宗教は怖いものだ。あるいは、自分とは全く関係ないものだという思いがますます強くなっていると思います。
しかし、人間にとって、どうしようもない悲しみなど、人智を超えたことについて、何かしら宗教的なものを拠り所にするということはあるのではないかと考えています。
私の座右の銘の一つに「叩けよ、さらば開かれん。求めよ、さらば与えられん」という、キリスト教の聖書の一節があります。ドアをたたいても、開かれないことはあるかもしれません。しかし、叩かなければ開かれることは決してないという教えです。
例を話しますと、ある日、3年生の当時の生徒会長と副会長が校長室のドアを叩きました。夏の時期の暑さ対策として、ポロシャツを導入してほしいということでした。この件は、前から生徒の要求としてあったと聞いています。生徒会長たちは、生徒会のメンバーときちんと話を詰めて、校長室に来てくれました。その後、2年生の代になってオンラインでしたが臨時の生徒総会が開かれ、ポロシャツ導入が生徒の総意となりました。生徒会の先生を中心に、先生方の会議が何回も開かれました。最終的には、校長として、職員会議の場で決定をしました。今年の夏から、本校にポロシャツを導入します。
制服として扱いますが、購入、着用は希望制です。ドアを叩いてくれた3年生には間に合いませんでしたが、創立100周年にも合わせてのタイミングにもなりました。詳しいことは、今詰めているところですが、近々諸君にもお知らせする予定です。
叩けば開かれるということです。もちろん、叩き方というものがあります。今回、ポロシャツの導入が実現できたのは、生徒会が、事前によく考えて、周りの人とよく話をするなど、ドアの叩き方がとても上手だったということだと思います。
「叩けよ、さらば開かれん。求めよ、さらば与えられん」です。受験や部活動でも、ぜひ自分から、結果をつかみ取りに行ってください。果実は、すぐ目の前にあるのです。
2つ目の宗教の話ですが、私は11月に、2年生と一緒に修学旅行で九州の太宰府天満宮に行きました。知っていると思いますが、学問の神様の菅原道真をおまつりしています。2年生は、そこでお祓いをしてもらい、1年後の受験での合格を祈願してきました。
私は、2年生全員の合格を占う気持ちで、おみくじを引きました。大吉だったら、ドヤ顔で2年生に報告するところですが、実際には、そうではなかったので、代わりに、絵馬を買ってきました。大吉が出るまで引き続けるということもあるのでしょうが、そうした姑息な手段はダメだと思っています。学年主任の先生は、その絵馬に「合格祈願」と書いて、先日、わざわざ太宰府天満宮に送ってくれました。
本番が目前に迫った3年生には、この年末年始に、湯島天神に行って、やはり合格を願っておみくじを引きました。開けずに、持ってきて、今、ここにあります。
今、開けてみます。もし大吉だったら、その勢いのまま本番で力を発揮してくれると思います。もしそれ以外だったとしても、本番まで、まだ時間がありますので、伸びしろがある、まだやれることがあると思って頑張ってください。
結果は、・・・・・・・・・・・・
以上です。
令和4年度 第58回比企一周駅伝大会 開会式(体育館) (令和4年11月22日)
秋気いよいよ深く 武州松山に集いし25本の襷たち。そこに込められた男たちの思い。
「いざ頂点を極める戦いへ」
2年生の生徒が考えてくれた、とても優れたキャッチフレーズです。
「いざ頂点を極める」。球技大会、体育祭で悔しい思いをしたクラスは、ぜひ、見返してほしい。
走るのは15人。でも、栄冠は、そのクラス全員で勝ち取ったものになる。スタッフ側の生徒があってこその栄冠となる。駅伝大会とは、そういうものです。
まず、スタッフ側の生徒に言いたい。仕事の内容は分かっていますか? 1年生はもちろん初めてなので分からないことが多いと思う。そういう時、人間は2つのタイプに分かれる。
・第1のタイプは、言われるまで指示を待つタイプ。
・第2のタイプは、何をすればよいか自分で見つけるタイプ。
第1の指示待ちの人は、これから先の人生においても、誰かの指示で動かされることが多い。たしかに、世の中は、リーダーだけでは成り立たない。フォロワーシップも重要な資質だ。しかし、いつも誰かに動かされるだけの人間にはなって欲しくないと思います。
ぜひ、自分から何をすべきか探し、考える第2のタイプであって欲しいと思います。何をすべきか自分で考え、分からなければ、保護者をはじめ周りの人に「何をすればいいですか」と自分から聞いてほしい。
今回、協力してくれる保護者は、総勢470人にも上る。こんな大きな学校行事は、他にはありません。さらに、警察官、警備員、道路工事の関係者など、協力してくれている人は
ものすごい人数となる。ぜひ、感謝の気持ちを忘れないでほしい。
走る生徒に一言です。これまでの学校行事で、私は同じ話を2回はしませんでした。しかし、この駅伝だけは別です。昨年と同じです。
「愛する者のために走れ」。
朝、「行ってらっしゃい」と送り出してくれた人のためか、ともに走る仲間のためか、次のデートの時に「頑張ったね」とほほ笑んでくれる○○女子高校の人か、自分自身のプライド。誇りのためか。それぞれでいい。
「愛する者のために走れ」私からの応援メッセージです。 いい大会にしましょう。
令和4年度 前期終業時全校集会(オンライン) (令和4年9月30日)
今日で、今年度の前期が終了し、明日から後期に入ります。感覚としては区切れがつかないと思いますが、「いよいよ後半戦だ」と思えばよいのだと思います。
これから後半戦を迎えるにあたって、今日は、いつもの「自学のすすめ」から離れた話をします。
NHKラジオの「子ども科学電話相談」という番組を聞いたことがありますか。以前は「夏休み子ども科学電話相談」で、夏休みにしかやっていませんでしたが、今は、毎週日曜日の10:05から放送しています。
幼稚園や小学生からの質問に、昆虫、天文・宇宙、植物、動物、科学、鳥、ロボットなどの専門の先生が回答するという内容ですが、幼い子供からの質問なので、答えるのがとても難しく、そこが面白いと思います。文系、理系を問わず、諸君には、とても良い練習になるので、ぜひ、専門の回答者になったつもりで答えを出してみてください。
1つだけ、過去に放送された例を出します。
「流れ星に3回願いをかければ、願いが叶うって本当ですか?」という質問です。
どう答えますか?
天文・宇宙の専門家の先生は、「流れ星、見たことある?」と聞きました。
「あります」と子どもが答えます。
先生は「一瞬だよね」と聞き、こどもは「はい」と答えます。
そこで、先生が言ったのは、「あんな短い間に願いを3回も言えるとしたら、それは、そのことをいつも思っているからだよね。そこまで思い続けている人の願いだったら、きっと叶うと思います。」という回答でした。
心に刺さる名答だと思います。
流れ星にかける願い事、諸君はありますか? 私にはあります。仕事のことで言うと、3年生全員の進路希望を叶えて進路実績をあげること。部活動での人間的成長と同時に大会実績をあげること。学校行事を盛り上げること。高校入試の志願状況をよくすること。SSH第3期指定を受けること。100周年記念事業を成功させること。などです。
しかし、流れ星が見えている間に、こんなにはとても言えません。だから一言で言う。「もっといい学校にしたい」。これならば3回は無理としても1回くらいは言えるかもしれません。
シンプルな願いこそ、強いのです。
シンプルで強い願い。諸君の場合はどうですか?
「甲子園」。「ノーベル賞」。「教員になる」。人によって違うのは当たり前です。人に言う必要もないのかもしれません。
今日、本当に言いたかったのは、このことです。これからの後半戦は、体育祭、後期1次考査、芸術鑑賞会など楽しい行事、イベントから始まります。そのなかでも、シンプルで強い願いのことを、いつも、願っていてほしいと思います。そうすれば、願いは叶うと思います。 以上です。
令和4年度 第75回松高祭 開会式 (令和4年9月3日)
おはようございます。
「やっと、この開会式までたどり着けて良かった」というのが、校長としての本音です。
コロナの影響で、どこまでできるのか、私自身も、先生方もたくさん悩み、考える日々でした。その意味で、「やっと、ここまで来られた」と思っています。
せっかく、開催できて、公開できるのだから、精一杯、来校者におもてなしをしてください。諸君は、主催者です。来校者は、松高生に聞けば何でも分かっていると思っています。女子トイレの場所とか、自動販売機は使ってもいいのかとか、答えられるようにしてください。
諸君の優しさ、礼儀正しさは、分かっているつもりです。一方で、ちょっと気が利かないよな、と感じることもあります。全員ではありませんが、もっと気が利くステキな男になってほしいと思います。例えば、私はたまに体育館の部活動を覗きに行きますが、姿を見るといち早くイスを持ってきてくれます。本当にうれしく、ありがたいと思います。そういう気の利き方を、今日、明日の松高祭でも発揮してください。
文化祭だから、白虎のように駆け抜けろ(今年の松高祭のテーマです)。盛り上がっていきましょう。
ただし、合言葉は、「羽目外しても、マスク外すな」です。楽しんでいきましょう。
以上です。
令和4年度 夏休み明け全校集会(オンライン) (令和4年8月27日)
おはようございます。
3年生にとっては、最後の夏休みが終わりました。
来週に迫った松高祭ですが、今のところ、予定どおり実施します。人数は制限しますが、保護者の方と一般の人に公開します。
「今のところ」と言ったのは、コロナの状況で、やはり、直前になっても公開の中止もあり得るからです。私は、ぜひ、公開して盛り上げてほしいと願っています。諸君も実施を祈って準備をしてください。マスク、換気、黙食など、今まで以上に注意してください。
さて、今日は、また「自学」の話をします。諸君にも、どうすればいいのか、考えてほしいからです。
6月に、ある3年生に聞きました。「自学とは何か? どうすればいいか?」という問いでした。学校評価懇話会という公の場でしたので事前に考えてきてくれていた3年生が言ってくれたのは、「自分を高めるものです。」と言う答えでした。
その瞬間、私は、こちらの問いかけ方が間違っていたと知りました。彼の答えは、立派なものでしたが、「自学」というのを「勉強」と置き換えても通じてしまうからです。「自分を高めるものです。」そのために勉強をすることは、きわめてまっとうな考えですが、「自ら学ぶ」という点について、いわゆる「勉強」とどう違うのでしょうか? そのことを、今日、諸君に考えてほしいと思っています。
ヒントになるかもしれないエピソードを1つ紹介します。
5年に一度開かれるショパン国際ピアノコンクールという大会があります。30歳までしか出られないという規定もあります。昨年の秋に、日本人として51年ぶりに第2位になったピアニストがいます。ちなみに、まだ日本人では第1位はいません。当時26歳だった反田恭平というピアニストです。
反田さんはピアノの本場、ロシアに留学しました。19歳になった次の日からです。数字以外のロシア語を何一つ知らない状態で、寮生活に入ります。話は通じない、治安は悪い、シャワーは出ない、死ぬほど寒い、ピアノのレッスンは厳しい、という中で世界中から集まった有能な若手が次々に挫折して帰国していきました。
その時に反田さんが考えたこと、そこに、諸君にも考えてほしい「自学」についてのヒントがあると、私は思います。
彼は、「この状況を打開するのに一番手っ取り早いのは、早く語学をマスターしてしまうことだった。」と言います。「そうすれば、ピアノの練習に専念できる」と言います。
言われると、当たり前かもしれません。しかし、「あれもつらい、これも厳しい。だから、俺にはできない」とならないところがすごい。自分のやりたいことができるようになる。自分の夢が叶うようになる。そのためには、語学ができるようになっていればいい」という考え方です。
「英検2級を持っていないから、あの大学に入るのは難しい」というのであれば、逆に言うと、英検2級を持っていれば入れるかもしれない。ということです。
今の自分にとって、なりたい自分になる、夢をかなえるためには、何ができるようになっていればよいか、そのためには、どうすればよいか。それを探し、見つけることが「自学」とは何かを考えるうえで、大切なのだと思います。
「自学」とは何でしょうか。諸君にも考えてほしいと思います。
以上です。