校長室より

2019年12月の記事一覧

伝統の力

 去る11月28日木曜日に松山高校第55回比企一周駅伝大会が行われました。本校の駅伝大会は、東松山市、滑川町、嵐山町、小川町、ときがわ町、吉見町をめぐる約61.8㎞を15区間に分け、クラス代表の15人がタスキをつなぐものです。交通量の少ない道を選ぶといえども一般道を走りますので、交通の要所のみならず、道々に見守りが必要であり、中継地点では、次の走者や選手係・役員、そして走ってきた生徒やバックアップ要員などの指導や待機場所の手配、水や栄養補給の用意など、様々な準備と人手が必要となります。今年が55回目、55年目となりますが、保護者の皆様、地域の皆様、警察の皆様の御協力がなければ、この行事は成立しません。私も松高駅伝大会の全容を知り、一高校が実施できるものなのだろうかと大変心配しました。

 また、今年は、台風19号をはじめ、台風や大雨等による大きな災害にみまわれた年でした。この場を借りまして、被害にあわれた方々にお見舞い申し上げます。台風等による被害は、比企地区全域に広がり、3デイマーチをはじめ中止となる行事も多くありました。本校の駅伝大会も開催が約一カ月後とはいえ、保護者・地元の皆様からの情報では、家屋への浸水、道路のアスファルトのめくり上がり、橋のダメージなど、とても走れる状態ではないとのことでした。職員も何度も下見をし、被害状況や復旧状況の写真から今年の開催は難しいと予測していました。

 11月に入り、そろそろ最終判断をしなければならない時期となり、本校担当教員が、各市町村に連絡を取り、復旧状況を確認しました。担当者の説明も「全力で作業をしていますが、いつまでに復旧できるか、正式な目途までお話しできないのです」との回答とともに、「なにか理由があるのですか」と質問がありました。「11月28日に松高の比企一周駅伝大会を計画しているのです」と答えると、「松高の駅伝大会、この時期でしたね。完全復旧までとはいかなくとも、生徒の皆さんが走れるようにします。大丈夫です」とのお言葉をいただいたと、担当教員が感動の面持ちで報告してくれました。工事の進行状況から、それまでには復旧可能であるとの見通しがあったからだと思いますが、それでも松高の駅伝大会を知っていてくれたこと、そして駅伝大会を応援しようというお気持ちを感じ、胸が熱くなったのを覚えています。

 私は、大会前日の開会式で、「松高の駅伝大会は、単なるマラソン大会ではない。55年受け継いできた伝統は、松高の先輩方の熱い思いだけでなく、それを支えてくださる多くの皆様の熱い思いが相まって成立しているのです。そんな行事に参加できるって素晴らしいと思いませんか。自分自身やサポートに回って自分たちを支えてくれる身近な仲間たちの思いだけでなく、大会の成立に関わってくださる多くの方々の思いも感じながら、感謝の気持ちで走ってもらいたい。」と開会を宣言しました。

 当日は、寒風吹き抜ける中、小川警察・東松山警察からも御支援をいただき、PTA後援会から500名を超える御協力をいただきました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。また、道々での同窓会の皆様の熱い応援、園児の皆さんの応援、椅子に座りながらの地元の方々の応援など、声援を一身に浴びながら走る今の生徒たちも、その背に先輩方が受け継いできた伝統をしっかりと背負っていたと思います。 

 松高の行事には、これまで受け継いできた思いがあります。それを支える形があります。そんな中に身を置ける生徒は、本当に幸せだと感じました。私も、伝統を受け継ぐ一人として頑張りたいと思います。

 またの御来室をお待ちしています。

 

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