松高日誌

【SSH】理数探究Ⅰデータ分析入門

8月26日(水)、夏季進路行事の授業として、1年理数科の生徒を対象に「データ分析入門講座」を実施しました。

 

まず初めに、永井先生より実験で得られたデータの取り扱い(検定)に関する講義が行われました。

 

生徒たちは各自タブレットを活用し、標準偏差や標準誤差、t検定の計算を実践。得られた検定結果(p値)の解釈について解説を受けました。

 

講義の後は、いよいよ実践です。

生徒たちは4人1組の班をつくり、以下のどちらかのテーマに取り組みました。

・「紙を落とすだけで科学が学べる?!~滞空時間選手権~」

・「球を落とすだけで科学が学べる?!~ビー玉衝突実験~」

「滞空時間選手権」では、15㎝×1.5㎝に切った紙を150㎝ の高さから落とし、滞空時間の長さを競います。

10回連続して紙を落とし、その時間のデータを取り、より滞空時間が長くなるような紙のスタイルを仮説を立て、実践してデータを取りました。

 

一方の「ビー玉衝突実験」では、秤量皿に入れた 60g のグラニュー糖の表面を平らにし、そこへ「きな粉」や「ミロ」を茶こしで薄くまぶした実験用トレイを作成。15㎝ の高さからビー玉を落とし、できたクレーターの大きさを記録します。

こちらも10回の計測後、「どのような条件なら、より大きなクレーターができるか」という仮説を立て、条件を変えて再度10回のデータを採取しました。

 

実験終了後は、全データを入力をしたうえで統計処理を行い、班ごとに結果を発表し合いました。

3時間というコンパクトな時間でありながら、試行錯誤する楽しさや面白さを体感し、得られたデータから「科学的に妥当か」を実際に処理・分析することで、科学的探究や判断への理解が深まる貴重な授業となりました。

 

担当の永井先生より、両方の実験を総括した【誤差】と【t検定】についてのコメントと核実験についての検証(参考資料)

【誤差】
今回実施した2種類の実験は、ある意味対照的な実験でした。

「紙実験」は、ただ紙を加工して落とすだけのシンプルな実験であったがために、過失誤差や系統誤差が起こり得る要素が少ない分、偶然誤差の影響が大きい実験でした。なので考察の視点はほとんどが偶然誤差を向いていたように思えました。

一方、「玉実験」は事前の設定が複雑です。グラニュー糖を平らに敷き、きな粉を薄くまぶし、ビー玉を決められた高さかつ秤量皿のなるべく真ん中に落とさなければならず、しかもクレーターの測り方自体が長径と短径をどこにするかをその場で探さなくてはならない-過失誤差や系統誤差が起こり得る要素がわんさかありそうな実験でした。その分偶然誤差の影響は相対的に小さそうです。

つまり何が言いたいかというと、「めちゃくちゃ丁寧に、かつ上手に実験ができたら、ブレが少なそうなのはビー玉の方」だということです。考察の仕方は様々な角度からできます(視点のヒントは添付資料)ので、どのような方向に持っていくかは人それぞれかと思いますが、誤差との付き合い方はこれから大切になってきますので、まずは経験できてよかったですね。

【t検定】
みなさんが実験データからt検定を行っていたことはとても良いことです。「科学的な裏付け」がなされたわけですからね。ただし、t検定は「片側or両側検定」「対応のある2群or対応のない2群」のそれぞれにおいて適切な方を選ばないと望まない結果に繋がる恐れがあります。今回の実験がどの種類の検定に当てはまるかは添付資料に解説を載せていますが、自分たちが今後行う実験が「どういう仮説に基づいて」「どういうデータを比較したいか」によってどのt検定を選択するかが変わってきますので、自分たちが行う実験のことをきちんと理解することがまず大切です。

 【参考資料】

「紙片の折り方による滞空時間の変化を検証した活動」についての検証

「ビー玉の大きさまたは落とす高さがクレーターの大きさに与える影響を検証した活動」についての検証

 

 

生徒の感想

・今回の実験では、ただ作業を行うだけでなく、考察するプロセスが多かったのでとても楽しかったです。

・紙を落とすという単純な実験から視野を広げ、植物の種の構造を利用できたことが自分の成長につながりました。

・とても面白く、植物の可能性についても興味が湧きました。同じ実験を行っていても、班によってテーマやデータ結果、今後の展望などが全く異なるため、大変勉強になりました。

・まだ高校で物理を履修していませんが、物理が好きなので「どう工夫すればよいか」を考える過程がとても楽しかったです。