【校長室】令和3年度 終業式(令和4年3月24日)
先日、生物室へ行って、カラスガイを見せてもらいました。
これがその写真です。
食べることもできるそうですが、このカイは何年目だと思いますか。
写真だと、本当の大きさはわかりません。また「食用で、何年目か」と聞かれると、先入観によって、2~3年くらいと思い込んでしまったのではないかと思います。
答えは、約30年だそうです。
沼の底の泥の中で30年間も黙々と生き続けてきました。
人間のように、戦争で殺し合うことも、悲しみや憎しみに押しつぶされることもありません。
逆に、お互いのことを心配したり、助け合ったりすることもないのでしょう。
時間の流れが、我々とは違うのかもしれません。毎日、時間に追われ、1日1日を何とかやっとの思いで過ごしている我々とは、時間についての感じ方が違うのだと思います。
楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますが、楽しくない時間はとても長く感じられるというということは。みんなが経験していると思います。
もちろん、実際の生活は、ドラマチックなことだらけというわけではなく、そのほとんどは、平凡な退屈なものです。
ですが、この1年はどうでしたか?
先日、校長室の掃除に来てくれたある1年生に、「もうすぐ入学して1年だね」と言ったところ、「あっという間でした」と答えてくれました。振り返ってみると「あっという間」ということは一般的にあるにしても、その生徒にとっては、ある意味、この1年が楽しい時間だったのではないか、少なくとも充実した時間だったのではないかと、思います。そうあってほしいと思います。
明日からの春休みも、限られた時間しかありません。4月7日に、全員がそろって始業式を迎えたとき、「春休みはあっという間だった」と言えるように、楽しい充実した時間になることを期待しています。年度の最後にあたり、時間の流れについて考えてほしいという話をしました。
ちなみに、このカラスガイは、絶滅危惧種に指定されています。30㎝を超えるものは特に珍しく、この後、研究機関に送られます。沼の泥と格闘し、採り終わったときには2㎏も体重が減っていたという先生の苦労も報われるといいなと思います。 以上です。