校長室より

令和3年度 前期始業式(体育館 2.3年生)

 おはようございます。

 3年生にとっては久しぶりに、また2年生には初めての、リモートではない式だと思います。できれば、こういう形を続けたいと思っています。しかし、新型コロナはまた拡大しています。体育祭や文化祭などの行事もできなくなる可能性もありますので、決して油断しないようにお願いします。

 さて、私はこれから1年間、いろいろなたとえ話やエピソードをとおして、「こういう人間になって欲しい。こういうことを考えてほしい。」という話をします。「結局、校長はなにを言いたいのか」を考えながら、心静かに聞いてください。

 今日は、ペンギンの話、ファーストペンギンという話をします。明治時代の実業家、五代友厚が言ったと、6年前のテレビの連続ドラマで有名になりました。野生のペンギンは群れで生活しています。特に子育ては陸上で行います。陸上の巣からエサである魚を取るために、海に向かってヨチヨチとかなりの距離を歩いていきます。ようやく海にたどり着いても、海に飛び込むのが怖いので、大きな岩の上で一つに固まりなかなか飛び込めません。海には、天敵のアシカ、シャチが潜んでいるかもしれないからです。でも、その中の勇気のある1羽が思い切って海に飛び込みます。すると、その後を追って、次々にペンギンたちは海に飛び込んでいきます。このことから、勇気をもって第一歩を踏み出す人、自らの進路を自らで開いていく人のことを「最初のペンギン、ファーストペンギン」と例えて言います。

もう、私が言いたいことの結論はわかったと思いますが、

 でも、本当は違います。ある生物の先生に聞いた話ですが、ファーストペンギンは、勇気のあるペンギンではないのです。

 やはり、ペンギンにとって、海の中は怖いんです。天敵のアシカやシャチが待ち受けていて、飛び込めば襲われてしまうかもしれません。とても怖いので、自ら一番最初には絶対にに飛び込みません。そんな気持ちを持ったペンギンたちが狭い岩場で押しあっているのです。そのうちに、誰かに押されたのか、自らバランスを崩したのか、その中の一羽が偶然、海に落ちます。それが合図となって、すべてのペンギンが海になだれ込んでいく、というのが本当のところだそうです。

 だからこそ、皆さんにはファーストペンギンになってほしくないのです。特に3年生、自らの進路を選ぶときに、「誰かに言われたから」とか、「なんとなく」、「たまたま」で、自分の進路を決めてもらいたくないのです。たとえ誰かに背中を押されたとしても、最後の決断は、自分で、責任を持ってやってください。「責任」というのは、「覚悟」です。

 海を前にしたペンギンと一緒で、先のことを考えると、漠然とした不安が多いと思います。でも、海の中にはおいしいエサがあります。本校を卒業した先には、嬉しいこともたくさんあります。「覚悟」をもって、自らの進路を選んでください。

 2年生の部活動も、勉強も同じです。「誰かに押されたから」では、やらされているだけです。ファーストペンギンになることなく、「覚悟」をもって、取り組んでほしいと思います。

 学校は、君たちを応援します。応援したくなる、そういう姿を続けてください。

                                   以上です。