校長室より

令和4年度 夏休み明け全校集会(オンライン)  (令和4年8月27日) 

 おはようございます。

 3年生にとっては、最後の夏休みが終わりました。

 

 来週に迫った松高祭ですが、今のところ、予定どおり実施します。人数は制限しますが、保護者の方と一般の人に公開します。

 「今のところ」と言ったのは、コロナの状況で、やはり、直前になっても公開の中止もあり得るからです。私は、ぜひ、公開して盛り上げてほしいと願っています。諸君も実施を祈って準備をしてください。マスク、換気、黙食など、今まで以上に注意してください。

 

 さて、今日は、また「自学」の話をします。諸君にも、どうすればいいのか、考えてほしいからです。

 6月に、ある3年生に聞きました。「自学とは何か? どうすればいいか?」という問いでした。学校評価懇話会という公の場でしたので事前に考えてきてくれていた3年生が言ってくれたのは、「自分を高めるものです。」と言う答えでした。

 その瞬間、私は、こちらの問いかけ方が間違っていたと知りました。彼の答えは、立派なものでしたが、「自学」というのを「勉強」と置き換えても通じてしまうからです。「自分を高めるものです。」そのために勉強をすることは、きわめてまっとうな考えですが、「自ら学ぶ」という点について、いわゆる「勉強」とどう違うのでしょうか? そのことを、今日、諸君に考えてほしいと思っています。

 

 ヒントになるかもしれないエピソードを1つ紹介します。

 

 5年に一度開かれるショパン国際ピアノコンクールという大会があります。30歳までしか出られないという規定もあります。昨年の秋に、日本人として51年ぶりに第2位になったピアニストがいます。ちなみに、まだ日本人では第1位はいません。当時26歳だった反田恭平というピアニストです。

 

 反田さんはピアノの本場、ロシアに留学しました。19歳になった次の日からです。数字以外のロシア語を何一つ知らない状態で、寮生活に入ります。話は通じない、治安は悪い、シャワーは出ない、死ぬほど寒い、ピアノのレッスンは厳しい、という中で世界中から集まった有能な若手が次々に挫折して帰国していきました。

 

 その時に反田さんが考えたこと、そこに、諸君にも考えてほしい「自学」についてのヒントがあると、私は思います。

彼は、「この状況を打開するのに一番手っ取り早いのは、早く語学をマスターしてしまうことだった。」と言います。「そうすれば、ピアノの練習に専念できる」と言います。

 

 言われると、当たり前かもしれません。しかし、「あれもつらい、これも厳しい。だから、俺にはできない」とならないところがすごい。自分のやりたいことができるようになる。自分の夢が叶うようになる。そのためには、語学ができるようになっていればいい」という考え方です。

 

 「英検2級を持っていないから、あの大学に入るのは難しい」というのであれば、逆に言うと、英検2級を持っていれば入れるかもしれない。ということです。

 

 今の自分にとって、なりたい自分になる、夢をかなえるためには、何ができるようになっていればよいか、そのためには、どうすればよいか。それを探し、見つけることが「自学」とは何かを考えるうえで、大切なのだと思います。

 

 「自学」とは何でしょうか。諸君にも考えてほしいと思います。

                                                              以上です。