校長室より

校長室より

【校長室】前期・後期の区切りの全校集会(ZOOM) 03.09.30

 始業式ではペンギンの話、夏休み前の全校集会ではニホンムラサキの話をしました。たとえ話から、校長は何を言いたいのかを考えてもらいたいと思っています。

 今回は、たとえ話ではありません。一人の少年を紹介します。その少年は、小学生の時にテレビでツタンカーメンの黄金のマスクが画面いっぱいに映るのを見て衝撃を受けました。ツタンカーメン王の墓を発見したカーター博士の『ツタンカーメン王のひみつ』という本を何回も読み返しました。やがて中学生になった少年は、池袋の西武百貨店で開かれた古代エジプト展というイベントの際に、ピラミッドの模型作りに参加しました。本当に古代エジプトのロマンが好きでした。当時、古代エジプト学者としてテレビにもよく出ていた吉村作治先生とも、そこでお会いしました。

 まあ、ここまでは、「子どもの時に好きだったことってあるよ」ということで、諸君にも思い当たることがあるのではないでしょうか? それこそ、動物が好きだった。乗り物が好きだったとか。サッカーが好きだった、カードゲームが好きだったということなどにも通じるものがあるのかもしれません。

 その少年は、成長し、ある男子高校に進学し、その後、早稲田大学に入学します。さきほど話した吉村作治先生が早稲田大学の助教授だったからです。

 その後、その元少年は、吉村先生とも一緒にエジプトの発掘に携わり、おととしには、ローマ帝国がエジプトを支配していた時代のカタコンベを発見し、ナイル川流域で初の発見ということから報道で大きく取り上げられました。

 その元少年は、来月、10月から上野の国立科学博物館で開催される「大英博物館ミイラ展 古代エジプト6つの物語」というイベントの監修を行います。古代エジプトというと、歴史、世界史ですが、それを文系の国立博物館ではなく理系の科学博物館で行うというところがポイントです。

 諸君は、文系と理系に分かれて勉強をしています。受験のためには、その方が効率的だからです。でも、当たり前ですが、世の中は、文系と理系に分かれてはいません。どちらのアプローチの仕方も必要とされる時代です。だからこそ、理系の科学博物館で開かれる古代エジプト展の意味があるのです。

 私は、この元少年を松高に呼んで、諸君に直接お話をしてもらいたいと考えています。現在は、国立の金沢大学の教授に就任されている 河合 望 先生です。諸君の進むべき道にも、多くのヒントを与えてくれると思います。それは、河合望先生が、本校の卒業生だからです。

 

 来週の火曜日、7日の体育祭をはじめ、後期も面白いことをまだまだ用意しています。ぜひ、楽しんでいきましょう。

 

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