校長室より

校長室より

令和4年度 第58回比企一周駅伝大会 開会式(体育館)  (令和4年11月22日) 

 秋気いよいよ深く 武州松山に集いし25本の襷たち。そこに込められた男たちの思い。

 「いざ頂点を極める戦いへ」

 2年生の生徒が考えてくれた、とても優れたキャッチフレーズです。

 「いざ頂点を極める」。球技大会、体育祭で悔しい思いをしたクラスは、ぜひ、見返してほしい。

 走るのは15人。でも、栄冠は、そのクラス全員で勝ち取ったものになる。スタッフ側の生徒があってこその栄冠となる。駅伝大会とは、そういうものです。

 まず、スタッフ側の生徒に言いたい。仕事の内容は分かっていますか? 1年生はもちろん初めてなので分からないことが多いと思う。そういう時、人間は2つのタイプに分かれる。

・第1のタイプは、言われるまで指示を待つタイプ。

・第2のタイプは、何をすればよいか自分で見つけるタイプ。

 第1の指示待ちの人は、これから先の人生においても、誰かの指示で動かされることが多い。たしかに、世の中は、リーダーだけでは成り立たない。フォロワーシップも重要な資質だ。しかし、いつも誰かに動かされるだけの人間にはなって欲しくないと思います。

 ぜひ、自分から何をすべきか探し、考える第2のタイプであって欲しいと思います。何をすべきか自分で考え、分からなければ、保護者をはじめ周りの人に「何をすればいいですか」と自分から聞いてほしい。

 今回、協力してくれる保護者は、総勢470人にも上る。こんな大きな学校行事は、他にはありません。さらに、警察官、警備員、道路工事の関係者など、協力してくれている人は

ものすごい人数となる。ぜひ、感謝の気持ちを忘れないでほしい。

 走る生徒に一言です。これまでの学校行事で、私は同じ話を2回はしませんでした。しかし、この駅伝だけは別です。昨年と同じです。

「愛する者のために走れ」。

 朝、「行ってらっしゃい」と送り出してくれた人のためか、ともに走る仲間のためか、次のデートの時に「頑張ったね」とほほ笑んでくれる○○女子高校の人か、自分自身のプライド。誇りのためか。それぞれでいい。

 

「愛する者のために走れ」私からの応援メッセージです。 いい大会にしましょう。

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令和4年度 前期終業時全校集会(オンライン) (令和4年9月30日)      

 今日で、今年度の前期が終了し、明日から後期に入ります。感覚としては区切れがつかないと思いますが、「いよいよ後半戦だ」と思えばよいのだと思います。

 これから後半戦を迎えるにあたって、今日は、いつもの「自学のすすめ」から離れた話をします。

 NHKラジオの「子ども科学電話相談」という番組を聞いたことがありますか。以前は「夏休み子ども科学電話相談」で、夏休みにしかやっていませんでしたが、今は、毎週日曜日の10:05から放送しています。

 幼稚園や小学生からの質問に、昆虫、天文・宇宙、植物、動物、科学、鳥、ロボットなどの専門の先生が回答するという内容ですが、幼い子供からの質問なので、答えるのがとても難しく、そこが面白いと思います。文系、理系を問わず、諸君には、とても良い練習になるので、ぜひ、専門の回答者になったつもりで答えを出してみてください。

 

 1つだけ、過去に放送された例を出します。

 「流れ星に3回願いをかければ、願いが叶うって本当ですか?」という質問です。

 どう答えますか?

 天文・宇宙の専門家の先生は、「流れ星、見たことある?」と聞きました。

 「あります」と子どもが答えます。

 先生は「一瞬だよね」と聞き、こどもは「はい」と答えます。

 そこで、先生が言ったのは、「あんな短い間に願いを3回も言えるとしたら、それは、そのことをいつも思っているからだよね。そこまで思い続けている人の願いだったら、きっと叶うと思います。」という回答でした。

 

心に刺さる名答だと思います。

 

 流れ星にかける願い事、諸君はありますか? 私にはあります。仕事のことで言うと、3年生全員の進路希望を叶えて進路実績をあげること。部活動での人間的成長と同時に大会実績をあげること。学校行事を盛り上げること。高校入試の志願状況をよくすること。SSH第3期指定を受けること。100周年記念事業を成功させること。などです。

 しかし、流れ星が見えている間に、こんなにはとても言えません。だから一言で言う。「もっといい学校にしたい」。これならば3回は無理としても1回くらいは言えるかもしれません。

 シンプルな願いこそ、強いのです。

 

 シンプルで強い願い。諸君の場合はどうですか?

 「甲子園」。「ノーベル賞」。「教員になる」。人によって違うのは当たり前です。人に言う必要もないのかもしれません。

 

 今日、本当に言いたかったのは、このことです。これからの後半戦は、体育祭、後期1次考査、芸術鑑賞会など楽しい行事、イベントから始まります。そのなかでも、シンプルで強い願いのことを、いつも、願っていてほしいと思います。そうすれば、願いは叶うと思います。       以上です。

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令和4年度 第75回松高祭 開会式 (令和4年9月3日) 

 おはようございます。

 

 「やっと、この開会式までたどり着けて良かった」というのが、校長としての本音です。

 コロナの影響で、どこまでできるのか、私自身も、先生方もたくさん悩み、考える日々でした。その意味で、「やっと、ここまで来られた」と思っています。

 

 せっかく、開催できて、公開できるのだから、精一杯、来校者におもてなしをしてください。諸君は、主催者です。来校者は、松高生に聞けば何でも分かっていると思っています。女子トイレの場所とか、自動販売機は使ってもいいのかとか、答えられるようにしてください。

 

 諸君の優しさ、礼儀正しさは、分かっているつもりです。一方で、ちょっと気が利かないよな、と感じることもあります。全員ではありませんが、もっと気が利くステキな男になってほしいと思います。例えば、私はたまに体育館の部活動を覗きに行きますが、姿を見るといち早くイスを持ってきてくれます。本当にうれしく、ありがたいと思います。そういう気の利き方を、今日、明日の松高祭でも発揮してください。

 

 文化祭だから、白虎のように駆け抜けろ(今年の松高祭のテーマです)。盛り上がっていきましょう。

 ただし、合言葉は、「羽目外しても、マスク外すな」です。楽しんでいきましょう。

 

                                以上です。

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令和4年度 夏休み明け全校集会(オンライン)  (令和4年8月27日) 

 おはようございます。

 3年生にとっては、最後の夏休みが終わりました。

 

 来週に迫った松高祭ですが、今のところ、予定どおり実施します。人数は制限しますが、保護者の方と一般の人に公開します。

 「今のところ」と言ったのは、コロナの状況で、やはり、直前になっても公開の中止もあり得るからです。私は、ぜひ、公開して盛り上げてほしいと願っています。諸君も実施を祈って準備をしてください。マスク、換気、黙食など、今まで以上に注意してください。

 

 さて、今日は、また「自学」の話をします。諸君にも、どうすればいいのか、考えてほしいからです。

 6月に、ある3年生に聞きました。「自学とは何か? どうすればいいか?」という問いでした。学校評価懇話会という公の場でしたので事前に考えてきてくれていた3年生が言ってくれたのは、「自分を高めるものです。」と言う答えでした。

 その瞬間、私は、こちらの問いかけ方が間違っていたと知りました。彼の答えは、立派なものでしたが、「自学」というのを「勉強」と置き換えても通じてしまうからです。「自分を高めるものです。」そのために勉強をすることは、きわめてまっとうな考えですが、「自ら学ぶ」という点について、いわゆる「勉強」とどう違うのでしょうか? そのことを、今日、諸君に考えてほしいと思っています。

 

 ヒントになるかもしれないエピソードを1つ紹介します。

 

 5年に一度開かれるショパン国際ピアノコンクールという大会があります。30歳までしか出られないという規定もあります。昨年の秋に、日本人として51年ぶりに第2位になったピアニストがいます。ちなみに、まだ日本人では第1位はいません。当時26歳だった反田恭平というピアニストです。

 

 反田さんはピアノの本場、ロシアに留学しました。19歳になった次の日からです。数字以外のロシア語を何一つ知らない状態で、寮生活に入ります。話は通じない、治安は悪い、シャワーは出ない、死ぬほど寒い、ピアノのレッスンは厳しい、という中で世界中から集まった有能な若手が次々に挫折して帰国していきました。

 

 その時に反田さんが考えたこと、そこに、諸君にも考えてほしい「自学」についてのヒントがあると、私は思います。

彼は、「この状況を打開するのに一番手っ取り早いのは、早く語学をマスターしてしまうことだった。」と言います。「そうすれば、ピアノの練習に専念できる」と言います。

 

 言われると、当たり前かもしれません。しかし、「あれもつらい、これも厳しい。だから、俺にはできない」とならないところがすごい。自分のやりたいことができるようになる。自分の夢が叶うようになる。そのためには、語学ができるようになっていればいい」という考え方です。

 

 「英検2級を持っていないから、あの大学に入るのは難しい」というのであれば、逆に言うと、英検2級を持っていれば入れるかもしれない。ということです。

 

 今の自分にとって、なりたい自分になる、夢をかなえるためには、何ができるようになっていればよいか、そのためには、どうすればよいか。それを探し、見つけることが「自学」とは何かを考えるうえで、大切なのだと思います。

 

 「自学」とは何でしょうか。諸君にも考えてほしいと思います。

                                                              以上です。

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令和4年度 理数科特進勉強会 開講式(国立女性教育会館)  (令和4年8月18日)

 今日は、「頑張れ」の一言を言いに来ました。ただ、それだけでは寂しいので、少し、屁理屈を言いに来ました。

 

 「受験は団体戦」という言い方がよくありますが、それは、少し、ウソです。例えば、剣道や柔道だと「先鋒、次鋒、中堅、副将、大将」が出場し、3勝2敗で勝ち上がるということになります。しかし、受験で、3人は合格だけど2人は不合格というわけにはいいかないでしょう。「みんなで助け合って戦う」ならば、むしろ「受験は団体競技」。

 私は、高校時代にクラシックギターの合奏という部活動をやっていました。そこでは、「演奏が、一番下手な人のレベルに合ってしまう」とよく言われます。だから、うまい人は下手な人に教えるし、叱咤激励します。

 では、受験ではどうすればいい?

 せっかくクラス替えがない(本校の理数科と普通科特進クラスは3年間同一のクラスです)のだから、できることはあるはず。

 

 「高校受験と違って相手は全国の受験生」という言い方も聞きます。これも、きっとウソ。

 相手=敵だとすると、全国の受験生って、誰のことですか?見えない相手に対して漠然と不安をあおるだけだと思います。さらに、「自分に負けない、自分に打ち勝つ」になると、訳が分からない。

 戦う相手は、目の前の、この問題。この問題と勝負して、解いてやることに集中してほしい。

 

 必要なのは、体力と考え方です。

 1日12時間勉強できる体力。それを6日間続けられる体力がありますか。

 考え方の一例をお話しします。小林 快次(こばやし よしつぐ)という有名な恐竜学者の話です。北海道大学総合博物館教授で副館長です。以前に、北海道むかわ町で「むかわ竜」の全身骨格の化石を掘り出しました。「カムイサウルス・ジャポニクス」と命名されました。小林さんの『恐竜まみれ 発掘現場は今日も命がけ』(新潮文庫)からの引用です。

 

 しばらく探して化石が見つからないと、たいていの人はあきらめモードに入ってしまう。しかし私は違う。むしろワクワクしてくる。新しいフィールド、化石産地に行ったときには、「必ずここに恐竜化石はある」と考えるようにしているからだ。

 そこに「ある」ことを前提にすれば、ちょっと探しても見つからない、さらに探しても見つからないと、まだ目を通していない残された土地に恐竜化石の埋もれている確率は、相対的に上がることになる。だったら次の一歩で見つかるかもしれないと、ワクワクするのだ。

 

 ようするに、この勉強会、「頑張れ」。 大学はいいぞ。

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令和4年度 新入生歓迎球技大会開会式(グラウンド)  (令和4年5月26日)

 今年のスローガンは「百年の歴史に男が見せる松高魂」と聞きました。

 「松高魂」と来たかぁ。

 「松高魂」って何でしょうか。「松高魂」って、どういう意味だと思いますか?

 今回の球技大会実行委員長の3年生に、聞いてみました。彼は「躊躇することなく、ぶつかっていく気持ち」と答えてくれました。おおいに結構です。

 ぜひ、球技大会で「松高魂」を見せてほしいと思います。

 しかし、我々教職員には、松高をもっとよくしたい、諸君をもっと成長させたいという「松高愛」がある。(書道の教員による【松高愛】の揮毫を見せました)

 「獅子は我が子を千尋の谷に落とす」という諺がある。百獣の王は、かわいい我が子をあえて深い谷に落として、試練を与えるということです。

 我々教職員は、「松高愛」をもって、諸君を谷に突き落とします。

 「松高魂」をもって、挑戦してきてください。「松高愛」をもって、叩き落とします。

 教職員側のスローガンとしては、「百年の歴史に大人が魅せる松高愛」です。

 

  期待しています。 

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令和4年度 理数科オリエンテーション (令和4年4月20日)

 普通の中学3年生は、普通科を選ぶ。君たちは、普通じゃない。

 偏差値的には、全員ではないかもしれないが、もっと上の学校だって入れたかもしれない。

 あえて、そういう普通科を捨てて、理数科を選んだ。何かを選ぶということは、何かを捨てることだから。

 自分は、そういう選択をしたんだということを改めて自覚してほしい。

 

 3年後にわかると思うが、理数科でなければ、見ることができなかった世界が必ずある。

 会えなかった人が必ずいる。知ることのできなかった知識が必ずある。

 自分で、それに気づけるかどうかの問題だ。

 

 周りを見ると、みんな自分より優秀そうに見えるかもしれない。まして、先輩たちは大人に見えて、自分はやってい けるのかと不安になっているかもしれない。

 周りができる人ばかりだと思うのは、錯覚だ。この時期は、そういうものだ。やがて、少しずつ相手のことが分かってきて、実は、自分とそう変わらないことに気が付くと思う。同じ高校生だから。

 

 ところが、先輩たちも大して変わらないと思うのは、実は、それこそ錯覚だ。先輩はやっぱりすごい。この松高で、1年、2年過ごしただけの厚みがあるはず。勉強も部活動も、新入生の君たちとは、やはりケタが違うはず。だからこそ、憧れの先輩を見つけてほしい。特に理数科の先輩にあこがれの先輩を見つけられるといいと思う。

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第100回入学式式辞 (令和4年4月8日)

  春の光はどこまでもまばゆく、生きとし生けるものすべてが躍動する新たな季節となりました。本日ここに、PTA会長様をご来賓に迎え、記念すべき第百回入学式を挙行できますことは、私たちにとりまして大きな喜びでございます。

 学校を代表して、心から厚く感謝申し上げますとともに、ご多忙の中をご列席いただきました保護者の皆様に、心から御礼申し上げます。ありがとうございます。

 ただ今、入学を許可いたしました三百十九名の新入生の皆さん、ご入学おめでとうございます。今、この瞬間から、皆さんは松高生と呼ばれます。

本校は、この百年の間ぶれることなく、建学の精神である「文武不岐」を貫いてきました。この言葉は、江戸時代の水戸藩の藩校、弘道館設立の際に、藩主であった徳川斉(なり)昭(あき)と儒学者、藤田東湖によって定められた『弘道館記』の中の一節をもととしています。弘道館で学ぶ藩士の心得として「文武不岐(文武岐(わか)れず)、学問事業 不殊其効(学問事業、其の効(こう)を殊(こと)にせず)」と続きます。     

もとより本校は儒教に基づく教育機関ではありませんが、百年の間大切に受け継がれてきた文化です。勉学と部活動の両方に全力で当たってください。たとえ勉強で思うように成績が上がらなくても、それを部活動のせいにはしないでください。中学校でよい成績でも、同じように白紙の状態でスタートした高校において、クラスの最下位となる人が出るのは当然です。これまで見たことのないような順位に愕然とするのは当然ですが、それを部活動のせいにするのではなく、次回に頑張るという力にしてほしいと思います。また、部活動で思うような成果が出さないことを勉強のせいにはしないでください。「文武不岐」とはそういうことです。

本校は、諸君を大きく成長させるために、大きな負荷をたくさんかけていきます。そう聞くと、なんて大変な学校に入ってしまったんだろうと思う人がいるかもしれません。そうです。諸君は大変な学校に入ってしまったんです。もう逃げられませんので、落ち込んだり、自信を失ったときには、思いっきりへこんでみてください。思い切ってめげるという経験をぜひ積んでほしいと思います。大丈夫です。我々教職員が、全力で支えます。また、何より諸君は一人ではありません。本校の校歌では「友よ共に」と歌います。これから三年間を一緒に過ごす仲間がいます。

本校には、松高生に対して、こうあって欲しいというあるべき姿、行動指針がいくつもありますが、本日は、私から三つだけお話しします。

一つ目、新たな松高生よ、強くあれ。

諸君には、将来、世界のどこかを支える人になって欲しいと思います。恵まれた資質を持ち、百年の伝統を持つ本校で学ぶ諸君には、その責務があります。そのために、強くなってください。新型コロナウイルス、ロシアによるウクライナ侵攻、環境問題、格差社会など解決すべき課題はいくらでもあります。地球規模の課題だけではありません。身の回りには、諸君の力を必要としていることが必ずあります。世界のどこを支えるのかを探し求めるとともに、ひたむきに頭と心と体を鍛え、強くなってください。

 二つ目、新たな松高生よ、優しくあれ。

人の痛みや悲しみを知り、周りの人をおもんぱかってください。これからできる級友や部活動の先輩、後輩だけではありません。本日一緒に参加してくれている保護者に対してもです。よく保護者の方から「うちは、男の子だから、学校のことや考えていることを何にも話してくれなくて」という声を聞きます。自分の子どもが体調が悪そうだとか、機嫌が悪そうだということを察することはできても、保護者は、超能力者ではありません。諸君から話さないと状況が分からないのは当然です。「親だから、わかってくれているはず」として、不機嫌なままでいるのは、子どもっぽい甘えです。怠慢です。ぜひ、保護者も含めて、周りの人にかける言葉をさがし、話をする力を身につけてください。

 三つ目、新たな松高生よ、格好良くあれ。

格好いい。まさに見た目の問題です。ひと昔前は「学校でも格好つけることはない。素のままの自分でいい」と言われました。が、そんなことはありません。学校は、家ではないのですから、精一杯、格好をつけて、輝く自分を見せてください。姿勢や所作、制服の着こなしもそうですが、挨拶、返事も格好良くしてください。たかが挨拶、されど挨拶です。また、返事一つの大切さに触れた言葉を紹介します。元埼玉県教育長の関根郁夫先生の言葉です。

 

 返事一つに心の明るさ暗さが表れます

 返事一つで意志の強さ弱さがわかります

 返事一つが人を温かくも冷たくもします

 気持ちが落ち込んだ時には

 空元気でもいいですから

 凛とした声で「はい」と返事をしてみましょう

 自分の「はい」の返事で元気が回復してきます

 人の心をつかむのは

 多くの言葉ではなく

 心のこもった返事一つです

 あなたの返事一つが家族を幸せにします

 たかが返事

 されど返事です

 あなたが身につけた凛とした返事は

 あなたの生涯にわたる大きな大きな財産です

 いつまでも返事一つを大切にしてください

 

もちろん、男子校ですので、異性の目を気にして変に強がったり、格好つけたりする必要はありません。大人になる直前の男として、自分を磨いてください。

 以上、新たに松高生となる諸君に三つのあるべき姿を贈ります。新たな松高生よ、強くあれ、優しくあれ、格好よくあれ。

 保護者の皆様にお祝いとお願いを申し上げます。

  本日のご子息のご入学、誠におめでとうございます。そして、今までの子育てのご苦労に対して、改めて敬意を表します。

 ご子息は、本日から歴史と伝統ある松山高等学校の生徒となりました。この三年間は、青春の多感な時期であり、楽しみの多い反面、何かと心を悩まされることも多いかと存じます。学校では、教職員一同、勉学や部活動等の指導に全力を尽くして参りたいと存じます。しかし、ご子息の成長のためには、ご家庭と学校の、連携と協力が何よりも大切です。皆様の温かいご支援とご協力を重ねてお願い申し上げます。

 結びに、新入生の皆さんが、本校で大きく成長されることを心から願い、式辞といたします。

       令和四年四月八日

      埼玉県立松山高等学校長  菅野 義彦  

 

 

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【校長室】令和4年度 始業式(令和4年4月7日)

 おはようございます。

 新しい学年になりました。これから頑張ろうとする諸君に、校長として、ぜひ、自学への取り組みを勧めます。自学自習というときの、自学です。

 自学というと、人から教わらず自分一人でもくもくと勉強するというイメージでとらえる人もいるかもしれません。しかし、そうではありません。先生方から、どんなに多くのことを教えてもらっても、自分で能動的に学ぼうとしない限り、本当の力にはなりません。逆に自分で学ぶ姿勢、学ぶ力を身につけさえすれば、何からでも、誰からでも学ぶことはできます。自学とは、このように自ら学ぶ姿勢や力を身につけ能動的に学ぶことを言います。

 自学とは、表面的には、授業や松高塾や予備校の講座以外の時間に行う“自分で時間を決めて行う勉強”を示します。具体的には、朝早く来て、勉強することを勧めます。自習室が7時半から開いていますので、1時間は勉強時間が取れると思います。自習室でなくても構いません。いままでどおり、教室でも朝自習は可能です。

 部活動で、朝練をやっている人は、一生懸命に朝練に励むと良いと思います。放課後に勉強する人はそれで結構です。ただし、放課後の部活動で時間がない人も多くいます。ぜひ、朝早く来て、自学をすることを勧めます。

 今までは、始業時間の繰り下げなどがあって、早く来ていいのかどうか、よくわからない状態もありました。まん延防止が解除され、新しい学年になった今こそ、変わるチャンスです。夜遅くまでスマホやゲームに没頭し、朝早く起きられず、ボーとしたまま学校に来るという生活を変えるとしたら、親は、大変でも、喜んで早起きに協力してくれると思います。 

 朝自習の勧めに関連して、いつものたとえ話を一つします。

 羊の大群を追う一人の羊飼いの姿を想像してください。果てしない草原でたった一本の棒と一匹の犬で二千頭にもなる羊を上手に操ります。どうしてそんなことができるのか?

 羊という動物は、他の羊が蹄の間から出す分泌腺の匂いを追う性質を持ち、常に集団で行動します。群れているので警戒心が弱く、前の羊のおしりを見ているだけなので、群れ全体の動きも把握していません。草を食べつくしても新たな餌場を自主的に探さずウロウロするだけです。

 この中にヤギを一頭入れます。意外にもヤギは、自分の状況を客観的に判断し、自主的に動きます。ヤギが動くと何頭かの羊がそれに従い、その後、群れ全体がヤギの行動についていくことになります。危険な時、餌場を探す時には、ヤギがリーダーになるのです。羊飼いは、このヤギとヒツジの性質を知っているのです。 

この中の誰かが、羊の中のヤギになってくれることを期待しています。

ただ、羊がダメでヤギがいいのか、と言うと、世の中はそんなに簡単ではありません。その話は、また次回にしたいと思います。                                 以上です。

 

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【校長室】令和3年度 終業式(令和4年3月24日)

先日、生物室へ行って、カラスガイを見せてもらいました。

 これがその写真です。 

  食べることもできるそうですが、このカイは何年目だと思いますか。

  写真だと、本当の大きさはわかりません。また「食用で、何年目か」と聞かれると、先入観によって、2~3年くらいと思い込んでしまったのではないかと思います。

 答えは、約30年だそうです。

沼の底の泥の中で30年間も黙々と生き続けてきました。

人間のように、戦争で殺し合うことも、悲しみや憎しみに押しつぶされることもありません。

逆に、お互いのことを心配したり、助け合ったりすることもないのでしょう。 

時間の流れが、我々とは違うのかもしれません。毎日、時間に追われ、1日1日を何とかやっとの思いで過ごしている我々とは、時間についての感じ方が違うのだと思います。 

楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますが、楽しくない時間はとても長く感じられるというということは。みんなが経験していると思います。

もちろん、実際の生活は、ドラマチックなことだらけというわけではなく、そのほとんどは、平凡な退屈なものです。

ですが、この1年はどうでしたか? 

先日、校長室の掃除に来てくれたある1年生に、「もうすぐ入学して1年だね」と言ったところ、「あっという間でした」と答えてくれました。振り返ってみると「あっという間」ということは一般的にあるにしても、その生徒にとっては、ある意味、この1年が楽しい時間だったのではないか、少なくとも充実した時間だったのではないかと、思います。そうあってほしいと思います。 

明日からの春休みも、限られた時間しかありません。4月7日に、全員がそろって始業式を迎えたとき、「春休みはあっという間だった」と言えるように、楽しい充実した時間になることを期待しています。年度の最後にあたり、時間の流れについて考えてほしいという話をしました。

ちなみに、このカラスガイは、絶滅危惧種に指定されています。30㎝を超えるものは特に珍しく、この後、研究機関に送られます。沼の泥と格闘し、採り終わったときには2㎏も体重が減っていたという先生の苦労も報われるといいなと思います。    以上です。

 

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