理科教育

カテゴリ:生物

クジラはどの哺乳類に近いのか

3年理数科 生物選択者が分子系統樹の原理と作成法を学びました。

クジラはカモノハシ、カバ、イエネコ、オオカンガルー、フクロネコの5種類の哺乳類の中で、どの種に最も近縁かを外部形態を元に仮説を立てたのち、分子系統樹を作成しました。

 

 

今回利用したのはMEGAというフリーソフトです。

NCBI(米国立生物工学情報センター)のサイトを利用して

それぞれの動物のヘモグロビンのα鎖のアミノ酸配列のデータを調べ、それをMEGAに入力します。

 MEGAに入力したらアミノ酸配列を並びなおします。(アライメント)

 すると種間のアミノ酸の差異数が表示され、そこから系統樹が作成できます。

 系統樹の作成は教科書にも掲載されている内容です。

今回の結果から、クジラはカバと近縁なことが分かりました。

 

また、学名から系統樹を感覚的に理解できるOneZoomを使って、様々な生物について調べ、その生物の分類体系や、どの生物と近いかなどを調べました。

ウニの発生実験

3年生物選択者対象に、授業2コマを使ってウニの発生実験をしました。

 

今回の発生実験は、日本財団「海と日本PROJECT」のイベントとして実施し、お茶の水女子大学より卵と精子を提供していただきました。

1コマ目の授業ではウニの卵と精子を観察したのち、受精させて受精膜が上がる様子をリアルタイムで観察し、あらかじめ用意しておいた初期発生胚の観察をしました。

 

 

ウニの卵の大きさは0.1㎜で人間の卵とほぼ同じ大きさです。そしてウニの発生は途中までヒトと同じように進みます。生徒たちは、自分たちも元々はこの大きさから育ったことを意識したり、顕微鏡下で卵割が起きる様子を観察できた生徒もいて、生命の営みの尊さに触れることもできました。

受精卵(150倍 1目盛り10㎛)

 

2細胞期、4細胞期

4細胞期

 

また、生徒たちは受精させた卵の発生が進んでいく過程を目の当たりにして、どこからが生命なのか、生命とは?といった問いを持つ生徒もいました。

 

先日実施した養護教諭の先生が主催の松高塾「超紳士学」は、女性の生理や排卵についてでした。つまりそれはヒトの発生についてです。

養護教諭の吉田先生が、ウニの発生に興味をもって、実験を見に来てくださいました。

 

 

ウニは発生してから2日ほどでプルテウス幼生という姿に形を変えます。

 

2コマ目の実験では、1コマ目では見られなかった原腸胚からプルテウス幼生まで発生が進んだ様子を観察し、幼生の体の中に骨片や胃などができているのを確認しました。

 偏光板を利用することで骨片を光らせ,発生段階によりどのように骨が成長していくのかも観察しました。

 

(3-5 石川君撮影)1目盛り2.5㎛

 

 

 

 

(3-5石川君撮影)

 

 

 

生徒たちは、時間をずらして受精させた様々な段階の胚や幼生を観察し、よく観察できているものを共有していました。

 

 この実験で、発生や遺伝子の発現など様々なことを学びました。

 

◆◆生徒のレポート◆◆

 

 

 

 

 

味覚修飾物質の実験

3年生物選択者を対象に味覚の実験を行いました。

味覚には甘味、塩味、酸味、旨味、苦みがあります。

味覚修飾物質として知られているミラクルフルーツに含まれるミラクリンや、ギムネマ茶に含まれるギムネマ酸により味覚がどのように変化するのかを、自らの舌を使って確認しました。

 チョコレートやレモン、グミ、マシュマロ、砂糖などが準備されているのを見た生徒たちは大喜びでしたが、実験により味覚が変化し、お菓子そのものの味を堪能できる訳では無く…。

それぞれの味覚修飾物質にどんな効果があるのかは生徒自身が食べて確認。

想像もしていなかったような味覚の変化に生徒たちはびっくりしていました。

 

校長先生、教頭先生も実験に参加してもらいました。

 

味覚については未だ解明されていないことが多く、これからの研究分野の1つでもあります。

盲斑・黄斑の実験

3年生物選択生徒が盲斑・黄斑の実験をしました。

 

私たちの視野は欠けること無くあるように感じていますが、実は見えていない部分があり、それを盲斑といいます。脳がそれを補っているので見えてない部分があるように感じることはありません。

 

 

また、色に関しても視野全体をカラフルに見ているようで、視野の端では色の認識は曖昧です。眼球の中で色を認識している部分が黄斑です。

 

生徒たちは紙の重さや比を利用して、自分の盲斑の大きさを計算したり、色を認識できる角度が限られていることを確認しました。

東京大学連携 バイオテクノロジー実習

7月27日(火)~29日(木)の3日間、所沢北高校で実施されたバイオテクノロジー実習に2年理数科の3名が参加しました。

今回の実習は「世界をリードする科学技術人材育成事業」によるもので、東京大学農学部と連携して開催されました。

 

 

 

 

 

生徒の感想 野口晃男(川越市立霞ヶ関西中学校出身)

今回の実習は東大の先生や所沢北高校の先生から説明を受けながら、アムジェンから貸し出された普段授業では使わないような最新の実験道具を使って、大腸菌の遺伝子組換の実験をするものでした。所沢北高校で行われ、所沢北高校、川越高校、松山高校の3校から参加者が集まっていました。初めて行く高校で初めて会った人たちに囲まれての実験は、とても気持ちが引き締まりました。

実験の途中で、なぜこの手順で実験するのかの理由を班の中で話し合う機会が設けられていました。例えばプラスミドを作るときにバッファー(緩衝液)を使うのですが、それをなぜ使うのか、といったことです。それらは難しかったですが、理由を確認することができたため、実験についてより深く理解することができて楽しかったです。

実習を終えて感じたことは、思っていたよりも簡単に遺伝子組換ができてしまい、技術の進歩を感じるとともに、自然の摂理を破る生き物を個人で作れるようになるのでは?と思い、恐ろしくも感じました。

生物基礎 ゲノムテクノロジーの光と影

1年6組の生物基礎の授業で、NHKスペシャルで放送された番組「ゲノムテクノロジーの光と影」の前半を見て、ゲノムテクノロジーの「光」の部分について意見を交換しました。

 

不治の病が治ったり、人間の遺伝子を組み込んだマウスを使って新型コロナの研究をしたり、ゲノム編集により今まで不可能だったことが可能になりつつあります。やがては親の望む容姿や能力をもった子供を作ることも可能になってくるかもしれません。生徒たちは様々な意見を出し合いっていましたが、これは本当に「光」なのか?と、そこはかとない不安を感じた生徒もいたようでした。


次回は番組の後半を見た後、ゲノムテクノロジーの「影」の部分について授業をします。