理数科
ALDH2遺伝子の多型解析実験
3月17日(月)理数科1年生を対象にALDH2遺伝子の多型解析の実験を行いました。
この実験は、かずさDNA研究所が主催する実験教材貸出事業で実施しました。
ALDH2遺伝子の多型解析では、自分の口腔粘膜細胞からDNAを取り出し、PCR法とアガロースゲル電気泳動によりアルコールの分解に関わるALDH2(アルデヒド脱水素酵素)遺伝子を解析し、お酒に強い体質か、弱い体質かが分かります。
マイクロピペットの操作を学んだ後、実験スタートです。
まずは、綿棒で口腔内粘膜の細胞を採取します。
綿棒をPBS(ナトリウム、カリウム、リン酸などからなる体液に等張な液)の入ったマイクロチューブに入れて細胞を落とします。
遠心分離器で回転させて、細胞が取れているか確認します。
担任で理数科OBの竹内先生が、実験の見学に来てくださいました。
マイクロピペットを使い細胞が入っているPBSから10µとり、細胞溶解液に入れブロックインキュベータで加熱します。
マイクロピペットを使いチューブから10µl取ったら細胞抽出液に入ます。
抽出液に入れたらタッピングをして、抽出液をPCR反応液に入れます。
これをPCR装置(サーマルサイクラー)にセットし、お酒に強いか弱いかが判別できる塩基配列を増やします。
増幅されたDNAをサイズマーカーと共にアガロースゲルにいれます。
電気泳動したものをトランスイルミネーターで確認します。
すべての生徒の実験がうまくいき、結果を確認することができました。
一般に、日本人のALDH2遺伝子の多型は、お酒に強いタイプが約50%、中間のタイプが約45%、弱いタイプが約5%の割合で分布していると言われています。
結果を確認した生徒たちからは、
「思っていたのと違った!」
「俺は5%だった!弱いもの同士、大人になったら一緒に飲みに行こうな」
といった声が上がり、大いに盛り上がっていました。
ただし、実験操作のミスなどの影響もあるため、今回の結果はあくまで参考程度と考えるべきです。また、お酒に強い・弱いこと自体に優劣はなく、生物にとって多様性があることが重要です。
今回の実験を通して、自分の体質を知るとともに、遺伝子やその多型について考えるきっかけになればと思います。
生徒の感想 側隼太朗(鶴ヶ島市立西中学校出身)
今回の講義では、DNAについてや遺伝子組換、バイオテクノロジーについて深く学びました。
他にも、自分のDNAから自分がお酒に強いのか弱いのかを検査しました。自分の親はお酒に弱いので、自分もお酒に弱いのだろうなと思いましたが、検査結果は自分はお酒に強いことが分かりました。
予想外の結果がでてとても驚きましたが、とても楽しい講義でした。今まで自分のがどのようなものか考えたこともなかったので、とてもためになりました。機会があれば、またDNAの講義を行ってもらいたいです。この度はかずさDNA研究所の皆々様とても楽しい講義をありがとうございました。
NHKディレクター 三浦さん講演会
3月6日(木)理数科卒業生で、NHK コンテンツ制作局 第2制作センター科学 ディレクターの三浦博樹さんをお招きして理数科特別講義を実施しました。
三浦さんは松山高校卒業後、筑波大学生命環境学群 生物学類 卒業、筑波大学 生命環境科学研究科 生物科学専攻 修了後NHKに入局しました。
NHKスペシャル「氷 その神秘の世界 ~映像詩 天塩川~」のディレクターを担当、現在はNHK第2制作センター 科学ジャンルで「あしたが変わるトリセツショー」などの番組制作に携わっています。
今回は「科学」の視点で自分だけの世界を創る というタイトルで、理数科の生徒たちに将来の夢や目標について、ご自身の経験をもとにお話しいただきました。
生き物、特にペンギン好きの三浦さんは「NHKなら南極でペンギンの取材ができるかも!」と考え、NHKに入局したそうです。
そして「さわやか自然百景」や「ネコが選ぶ!アニマル動画グランプリ」などの番組制作を通してディレクターの仕事を紹介していただきました。
NHKスペシャル「氷 その神秘の世界~映像詩 天塩川~」では100日間、極寒の天塩川に通い続け、川の水が凍る現象について、研究者も見たことのない新発見を映像に収めるまでの過程について詳しくお話しいただきました。
生物専攻だった三浦さんは、このNHKスペシャルを制作するにあたり、氷に関する論文を100本以上読み、大学の教授に取材も重ねながら番組を作り上げたそうです。そして新発見の撮影に成功したのは、偶然かもしれないが、徹底的に準備しつくしたからこそ巡り合えた「セレンディピティ」だったと話してくれました。
三浦さんご自身は「科学」の視点を持ち続け、その世界を映像作品で創り出したい、と自身の想いを語られた後、高校生たちに向けて「自分を表現する手段は何なのか、ゆっくりと考えて欲しい」というメッセージをいただきました。
また、「あしたが変わるトリセツショー」で三浦さんがディレクターとして制作した「コーヒーのトリセツ」を紹介した後、男子校出身者が大学に行って困ることあるあるとして
女の子とどう接していいか分からない…
ということが多々あります。
そこで「恋愛の取扱説明書」についてお話いただきました
この「恋愛のトリセツ」では話しかけ方・話題・デートへの誘い方などを、実際に番組制作の際にいろいろな人に取材をすることも多い三浦さんならではの経験をもとに、実践を交えて紹介していただきました。
この話題になると、教室の雰囲気が一変し、生徒たちの目が一層真剣になっていたのが印象的でした。
そして最後に自分でしか気づけない「根拠」を持つのは大変なことだが、だからこそ「根拠のある自信」を持つことは価値があること、それを身につけて欲しいというメッセージをいただきました。
講義後は、映像制作部との座談会や新聞部の取材にもご協力いただきました。
映像制作部座談会
新聞部取材風景
長時間にわたり、貴重なお話をありがとうございました。
生徒の感想 金澤祐輝 (鶴ヶ島市立藤中学校出身)
理数科のOBで現在NHKのディレクターを務めている三浦先輩が 、理数科の1年生に対して、 三浦先輩ご自身が制作してきた作品についてや、 高校を卒業してからの進路についてなどのお話を伺いました。
また、三浦さんが撮影の立案、 監督をされたNHKスペシャルの撮影秘話をお聞きすることができ 、質疑応答では、 なぜ生物の発生学を専攻していた三浦さんがNHKに入社するよう になったかなど、貴重なお話がたくさん聞けました。
理数科のOBに直接お話を伺う機会があまりなかったため、 質疑応答では質問が多く飛び出しており、 今後の学校生活において、 大きく意義のあるものになったと思います。
私は、映像制作部に入部しており、 理数科に向けての講義とは別に、 映像制作部だけでもお話を伺うことができました。 映像を見る視点ではなく制作する側の視点で質問をすることができ ました。理数科として、 また映像制作部としてとても貴重な体験ができたと思います。
【祝!】数学オリンピック地区優秀賞受賞!
1月13日(月・祝)に埼玉県さいたま市のJA共済埼玉ビルで実施された日本数学オリンピックに理数科2年の山内君が参加し、埼玉地区上位10%にあたる地区優秀賞を受賞しました!おめでとうございます!
今回の数学オリンピックでは、12問の出題があり、試験時間は3時間でした。山内君はそのうち5問を解答。最初の4問はすぐに解けたそうですが、5問目には1時間30分を要したとのことです。
山内君は剣道部に所属し、休み時間にはいつも数学の問題を解いているほどの数学好き。自己採点では優秀賞の中でも最上位で、おそらく埼玉会場の全受験者の中で4位だったのではないかと話していました。
これからの活躍にも期待が高まりますね!
Winter English Challenge 2024
2025年1月6日~7日に川越高校で開催されたWinter English Challenge 2024に松山高校の生徒4人が参加しました。
アメリカ、ベトナム、マレーシア、フィリピン、コモロ諸島からの留学生をTAに迎え、All Englishでプログラムが進んでいきました。
各班を担当するTAの方に英語でインタビューし、出身や趣味、好きな食べ物などを聞いて、全体に紹介しました。
その後、コンビニエンスストアとスーパーマーケットのどちらがいいのか?という内容のピンポンディベートやディベートに関する基本的なルールや方法について学びました。
お昼休みには留学生の方々を近くの氷川神社や時の鐘へ案内しました。
午後は相手の意見に論理的に反論するATTACK SPEECH や、それに対してどう答えるかのDEFENSE SPEECHを学びました。
2日目は動物園は必要かそうでないかのディベートなどを英語で行いました。
生徒の感想 高木雄太 (富士見市立東中学校出身)
今日は川高生と共に英語でのディベートと5人の留学生と交流をしました。内容はディベートでは相手に自分の意見を伝えるコツを学びました。その1つに”OREO”を学びました。”OREO”とはOpinion(意見)、Reason(理由)、Example(例)、Opinion(意見)の順にスピーチをするという方法です。留学生との交流では、川越高校の周辺の街を留学生と一緒に英語で会話しながら散策しました。実際に体験をして、”OREO”を元にスピーチをするだけで討論として成り立つことに面白いと思いました。また、グループ内での”OREO”制作で、お互いに協力し合い川高生と親しくなることも出来ました。留学生との交流を通して、たとえ自分の意見に会う単語が分からなくてもとにかく諦めずに話し、相手に伝えようとする精神がコミュニケーションをする上でとても大切であると気づきました。これからの社会、生きていく中で少なからず英語で話す機会がやってくると思います。そのような時に、今回経験した体験を活かしいきたいです。私自身とても楽しかったのでまたこのようなイベントがあれば参加していきたいです。
科学博物館見学
12月27日(金)理数科1年生希望生徒が上野の科学博物館に見学に行きました。
生物科の比留間先生に解説してもらいながら、地球館1階の地球史ナビゲーターから多様性、生態系と見学し、
人類の進化まで、半日かけて3つのフロアをじっくり見学しました。
生徒たちは普段、授業で学んでいる内容を目の前の展示物と照らし合わせ、対話をしながら学びを深めていました。
科学の甲子園
11月16日(土)理数科1,2年生が科学の甲子園埼玉大会に参加しました。
1年生
2年生
科学の甲子園は、高等学校等(中等教育学校後期課程、高等専門学校を含む)の生徒チームを対象として、理科・数学・情報における複数分野の競技を行う取り組みです。
松山高校からは理数科1,2年生がそれぞれチームを組んで挑みました。
実技競技は事前に課題が提示されます。
今回の実技課題は、決められた材料で発射装置を作り、木の角材を飛ばして壁を越え、角材が落ちた場所で得点を競うものです。
生徒たちは角材を飛ばすのはもちろん、より高得点のエリアに角材を落とせるよう、試行錯誤しながら発射台や角材を作っていました。
時には1,2年生が協力して課題に取り組む場面も。
体育館のステージを借りて、実際の競技会場を再現。
角材を飛ばした様子を動画で撮り、検討します。
放課後も残って、発射装置の調整をしました。
大会が始まる前の緊張した面持ちの1年生。
生残念ながら県代表の座は逃しましたが、参加した生徒たちにとっては良い経験になったようです。
1年 奥村晃平(板橋区立桜川中学校出身)
科学の甲子園で出場するメンバー六人で物化生地数情の問題に取り組みました。
実技は発射装置を作り、1c㎥の立方体の木材を発射し、狙ったところに落とすものでした。また、東大の人の特別講義を受けました。
前日の実技の準備では、自分では思いつかないような意見がとてもたくさんでてきて、やはり複数人で考えると良い案が出るなと思った。筆記試験は物化生地数情の担当があったが、他の教科の担当と協力することが想定されているかのような問題がいくつかあり、面白かった。実技試験は代表3人しか参加できず、私は参加しなかった。特別講義はとても興味深い話が聞けて面白かった。
2年 山口純平 (鶴ヶ島市立藤中学校出身)
自分たち2年生理数科でチームを組み、科学の甲子園埼玉県大会に参加した。自分は、前回も参加したため、2回目の参加になった。筆記試験と実技試験を行い、その試験の点数を他校のチームと競う大会だった。また、宇宙の地図を作るという講演も行われた。講演をきっかけに新たな視点を得ることにつながり、今後の進路の役に立った。
大会に参加した感想は、筆記も実技もうまくいかず、悔しかった。筆記で自分は化学を担当した。対策として、理論化学と有機化学を勉強した。しかし、本番の内容は高分子化学だった。そのため、手も足も出なかった。実技は発射装置を作り、弾を発射し、点数を競うという内容だった。装置を完成させ、弾を発射することはできた。しかし、弾が点数エリアに入ることがなく、点数を得られなかった。
以上より、今回の大会もあまりうまくいかず、前回参加したときのような悔しい結果になった。しかし、この大会に参加したことは無駄ではなかった。本番に向けて勉強したり、練習したりといったことは良い経験になった。この経験を別の機会に活かしていきたい。また、自分は凡人といってしまえば簡単だが、実際にそうで、優秀とはいえない。そのような自分が今回のような大会以外でも、難しい問題や課題、他のチームの優秀な人材をどうやって制圧していくかを改めて考え直す機会になった。今回も良い結果を出せず、悔しく、情けない気持ちになった。それは、そのように思えるほど、前回の大会から思うことがあり、色々と対策していたからだと思う。色々と思ったことがあったが、今回の大会も良い経験になったので、参加してよかったと思えた日だった
理数科体験授業
10月5日、中学生向けの理数科体験授業を行いました。
全体会では、卒業生から松高・理数科の魅力をわかりやすく伝えてもらいました。
体験授業では、数学分野「数Ⅲにチャレンジ」と物理分野「ライントレースロボットのプログラミング実習」に分かれて授業を行いました。
それぞれの授業で松高生がアシスタントにつき、問題やプログラミングについてのアドバイス、丸つけなどをしました。
体験授業後は中学生から理数科生徒たちへ、宿題や課題、部活動について質問をうける場面がありました。理数科の先輩たちが自分の体験談や普段の学校生活を楽しそうに答えていました
数学(問題演習の丸つけ中)
物理の様子(ライントレースロボット操作中)
【中学生からの感想】
★理数科OBの話を聞いて、理数科についての興味がわきました。数学の体験授業では国語の重要性を知り、数学についてさらに興味を持ちました。
★自分が夢中になって探究できるようなことが見つかりそうで、松山高校に入ってみたくなった。
★松高の先輩方が優しく丁寧に教えてくださって、とても分かりやすかった。
バイオテクノロジー実習
8月5日、6日の2日間、所沢北高校で行われたバイオテクノロジー実習に、1年生の理数科生徒10名が参加してきました。
バイオテクノロジー実習??とても難しそうな内容です…。簡単に説明すると「大腸菌に遺伝子組み換え操作を行い、発光タンパク質をつくる」実験を行いました。
生物分野の内容的には3年生で勉強する内容なので、1年生の生徒達には難しい内容でしたが、
初めて聞く単語や、初めて使う器具や道具にも興味津々で実習に臨んでくれました◎
当日は東京大学から講師の先生が来てくださり、所沢北高校の先生方と共に、器具の基本操作、遺伝子についての講義、遺伝子組み換え実習と、丁寧に指導をしていただきました。
今回は所沢北高校と所沢高校の3校合同実習で、他校の生徒と同じ時間を共有しとても刺激を受け、充実した実習になりました♪
講義の様子 ↓
集合写真 ↓
マイクロピペット操作練習 ↓
電気泳動作業(下は結果) ↓
培地作成作業(下は結果) ↓
発光タンパク質の精製 ↓
サイエンスイングリッシュキャンプ
7月27日(土)~28日(日) 1泊2日で開催された東京工科大学主催のサイエンスイングリッシュキャンプに理数科2年の新井君が参加しました。
サイエンスイングリッシュキャンプは東京工科大学が主催する、世界のTop Scientistとして活躍している研究者の生活を体験できるプログラムです。全国から集まった研究に興味のある高校生が大勢参加していました。
はじめに「酸と塩基(asids and bases)」というタイトルで日本語での講義がありました。その後、班ごとに分かれて英語による化学実験が行われました。
実験は「有機化合物の系統分離と分析」です。各班を担当する指導者も英語で指示を出し、生徒同士のやり取りも全て英語で行うことが課せられました。
生徒たちは、思ったように出てこない英単語を補うために、身振り手振りでコミュニケーションを取りながら実験を行っていました。2年生の新井君はまだ有機化学は学んでいない分野だったのですが、熱心に取り組み班のメンバーを引っ張って実験を進めていました。
夜は大学セミナーハウスで、英語のネイティブスピーカーの教授と英語によるグループディスカッションが行われました。
2日目は午前中にポスター発表資料作成をしました。
午後は班ごとにポスター発表を行いました。
どの班も、初めて顔を合わせたメンバーとは思えないチームワークでそれぞれが役割分担をして説明をしたり、足りない所は補い合ったりしていました。
最後に表彰と修了証の授与があり、2日間のプログラムを終えました。
全国から自主的に集まった生徒たちは、発信力のある個性豊かな生徒が多く、そんな生徒たちと同じ目標に向けて協力して実験や発表をした経験は掛けがえのないものだったようです。
生徒の感想 新井颯馬(川越市立川越西中学出身)
私は7/27、7/28に東京工科大学で開催されたサイエンスイングリッシュキャンプに参加してきました。
このイベントでは化学の実験やディスカッションを英語でしたり、実験の内容をレポートにまとめる(ここは日本語あり)といったことをしました。
実験の内容は有機化学等の知識が必要になる部分もあり、分からないことが多かったです。
しかし、事前に用意されたテキストや大学の先生方のサポートもあって楽しく実習を受けることができました。
1年前期 英語研究発表会
1年理数科で英語研究発表会を実施しました。
毎年3年生の6月に実施する、英語研究発表会への第1歩です。
今回の発表会は、「分かりやすい英語」で、「聴衆を意識して」発表することを目的として行われました。
発表する研究内容は、理数生物の時間に実施した探究的な実験で、まとめとして日本語で一度発表したものです。
準備期間はあまりありませんでしたが、英訳だけでなく、スライドの作り方や発表方法など、工夫して発表していました。
理科の先生だけでなく、英語科の先生方にも評価をしていただきました。
今回のように、探究的な実験→日本語で発表→英語で発表というサイクルを何回か繰り返すことで、生徒たちの探究力や他の人に伝える能力を伸ばしていきます。
8月下旬にはヴィアヘラー先生による英語プレゼンテーション講習があります。
元気いっぱいの1年理数科の生徒たちが、英語プレゼン講習を経てどのように成長していくのか、そしてそれが今後の英語研究発表にどう活きてくるのかが楽しみです。